予期せぬ出来事

翌朝、私にしては珍しく早く目が覚めた

いつもの様に会社に出勤する準備を終えても、時間にはまだ、十分な余裕がある

「もう一眠り…とかすると寝過ごすんだろうなぁ…」

結局、特にすることもなく、時間を持て余す形になり、散歩がてらにと、家をでた

バスの時間にはまだまだ余裕があるため、遠回りをする

この時間はまださほど気温も高くなく、歩くにも苦にならない

普段は通らない道ではあったが、昨夜、老人を追いかけて通った為、何だか見馴れた気分になる

何気なく、老人の家の方をみると、何やら賑やかい様子

「どうしたのかな?」

少し迂回する事になるが時間もある

「…行ってみよ」

近くまで行くと、それが老人宅の出来事である事が見て取れた

通り掛かりに様子をみようとすると、予期せぬ言葉が聞こえた

「…え?嘘だ…」

頭が真っ白になり、思考が途切れた

「…さんが、亡くなられたそうよ…」

別の方向から、また同じ内容の言葉が、聞こえてきた

「………」

暫く立ち止まったまま、言葉を無くす

「…はい、すみませんが、お願いします」

気付けば会社に休みの連絡を入れていた