>2-1 音の種類
「音」と一言で言っても、色々あります。
楽器を演奏すればその楽器独自の音色があり、楽器に限定せずとも日常には音が溢れています。
それら全てを音色としてみると、その無数にある音色の殆どが次の3種類に分類する事が出来ます。
純音:単振動のみで、倍音を含まない音。
楽音:規則性のある振動による音。
噪音:規則性が認められず、かつ非常に短時間の振動による音。
この3種類のこの内、実際に音楽に用いられる音色は「楽音」と「噪音」の二つ。
この知識は現代音楽には欠かせないデジタル音源を扱う場合に有用です。
例えば、シンセサイザーでの音作りの基本は機械的に発生させた音波の波形を加工し、それを出力させるのですが、その際に用いる波形の基本形の一つにサイン波という物があります。これが正に「純音」に該当します。波形で言うと綺麗な波型です。(下図)
この他にも一般的に鋸波(ノコギリ波)や矩形波(くけい波)などと呼ばれる波形もあります。この波形の種類によって、作り出せる音の音色がある程度決まってくる訳ですが、純音に該当するのはサイン波のみです。
さて、波形を加工して音色が出来たら次のステップとして、出来た波形を発信させる事になるのですが、ここで必要になるのが「楽音」と「噪音」についての知識です。
シンセサイザーで音を発信する際、「ADSR」と呼ばれるパラメータがあるのですが、これは「Attack」「Decay」「Sustain」「Release」の4つの頭文字をとった物です。
具体的には下記の要素の設定になります。
Attack:音の立ち上がり。
Decay:減衰時間。
Sustain:減衰後の保持音量。
Release:余韻。
各パラメーターの具体的な効果についてはここでは省略しますが、この4つの内、「Attack」と「Decay」が噪音、「Sustain」と「Release」が楽音に相当します。
厳密には違うかも知れませんが、楽音と噪音の関係性を理解していれば、シンセサイザーでの音作りの際、パラメーターで設定する内容がイメージし易くなります。
では楽音と噪音の具体的な関係性の例を下記に上げてみます。
・ピアノ、ギターなどの弾くタイプの弦楽器や木琴、鉄琴などの楽器で、音の発生した瞬間は噪音、その直後から響く楽器特有の音色が楽音になります。
・ドラムや太鼓などの打楽器で瞬間的な音を発生させ、明確な音色として旋律を構成しない楽器の音は噪音になります。(この際の余韻は厳密に言えば楽音に分類されるかも知れませんが)
・管楽器や吹奏楽器などの発生させる音は楽音になります。
・バイオリンなどの弓で弾く楽器では弓との摩擦で発生させる音色は楽音で、弦を弾いて発生させる音の成り立ちはギターなどと同じです。
イメージ出来ますでしょうか?
シンセサイザーの音作りは非常に奥が深くて面白いので、機会があればじっくりと取り組んでみたいと思っていますが、興味のある方は是非、追求して見てください。
さて、音の種類は主に三つに分類されると、そして楽器の音色の殆どは噪音と楽音で成り立っていると説明しましたが、ここには楽器の音色についての要素が抜けています。
楽器特有の音色、その種類は非常に豊富です。
それら全てに音の種類の分類は適用されますが、飽く迄も分類であり、音色を決定する要素は別に存在しています。
では、その音色の種類はどの様に決定されるのでしょうか?
次はそれについて考えていきます。