>2-2 楽音の3要素

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音の種類は何によって分けられているのか?
まずはそこから説明します。

音の種類、純音、楽音、噪音はその波形の状態によって分類されています。
純音は純粋なサイン波の事、楽音は純音では無いが規則性の認められる持続的な振動の事、そして噪音は瞬間的に発生する規則性の認められない振動の事。
この3種類、特に楽音と噪音の状態によって多くの楽器の音色が生まれていると言える訳です。

では、楽音と噪音の状態とは何か?
次はそれを説明していきます。

噪音については単純です。
規則性の認められない、瞬間的な波形、つまり打撃音や破裂音、楽器で言えば打楽器の音や打鍵音など、瞬間的に発生する、例えるなら爆発の様な波形です。
つまり、状態判別の必要が無い、または出来ない波形と言う事。
(厳密に言えばそれらの音にも高低が存在しますので、状態の判別自体は可能なのかも知れません。)

では楽音はどうか?
波形によって音色が決まる。
噪音が状態判別の必要のない(出来ない)波形である。
と、言うことは、楽音の状態(波形)によって音色が決まるとも言えます。

波形とは、音の振動波の形の事で、高さ、強さ、そして形があり、この3つを音の要素と呼びます。

・音の高さ
音の高さは波の振動の速さによって決まります。
振動の速さとは、1秒間に振動する数のことで、単位はHzを使います。
1秒に1回の振動が1Hzになります。
一般に人間に聞き取れる音は15Hzから20,000Hzの間と言われています。

・音の強さ
音の強さとは波の振動エネルギーによって決まります。
波の振動エネルギーとはそのうねりの大きさのこと。
上下の振幅が大きければ大きいほど強い振動エネルギーを持ちます。
つまり大きな音になります。
ただし、音の大きさは周囲の環境、音源からの距離や、波形の形状など様々要因によって変化するものでもあります。

・波の形(音質)
音の波で形に該当するのがこの音質になります。
音の波形にはサイン波の他にも鋸波(ノコギリ波)や矩形波(クケイ波)など、色々な形状があり、一般的にはそれらが混ざり合った複雑な形状をしています。
複雑に混じりあった波形とは、「高さ」と「強さ」の違う波形が一つの音としての波形を示している状態の事です。
速い振動と遅い振動、その波の各々の強さが複雑に混ざり合う事で、独自の波形形状になり、それが音質として認識されているのです。
つまり、各楽器特有の音色はこの音質によって決定されていると言うことです。

音質で音色、その波形の振動速度でその音の高さ、そしてその波のうねりの大きさで音量のベースが決定されます。
この3つの要素が音の3要素と呼ばれるものです。

下図では縦軸が音(波)の強さ、横軸が音の高さ(振動数)を表し、波の形が音質を表しています。(図ではサイン波を形成しています)

・倍音について
倍音とは目的の音程(基音と言う。)に対して自然発生する整数倍の振動からなる音の事で、人間の聴覚はこの含まれ方によってその音独自の音色や音質を識別していると考えられています。
通常、音質は色々な波形が複雑に混ざり合って成り立っているのですが、その中で最も音質の特性に作用しているのが倍音であり、倍音によって音色が形成されていると言えます。

<本章のまとめ>

『音の種類』
音の種類には下記の3つがある。
・純音
・楽音
・噪音
この内、主に旋律を奏でる際に使用される物は楽音である。

『音の3要素』
・音の高さ:振動数(Hz)で表される。
・音の強さ:振動の大きさ(波の大きさ)の事で、音量に関係する。
・音質:発生する音波の形状。その特性により音色として認識される。

『倍音』
・音質に含まれる基音以外の整数倍の振動数を持つ音。
音色、音質の形成に最も強く影響する。