第1章(序章) 音楽理論は学ぶべきか、否か。
さて、ではそれが理論を学ぶ事とどう関係してくるのか、です。
これには色んな要素があるので一概には言えませんが、私が一番重要、つまり、理論を学ぶ上で一番のメリットと思っている事を挙げさせていただきます。
それは、「音楽を嗜む上での基礎がしっかりと身に付く」と言う事。
勿論、簡単に身に付く訳ではありません。
基礎の中には幼い頃から学習していく事で自然と身についていく事も多く、大人になってからの習得は困難なものもあります。
例えば、「ソルフェージュ」日本語では「聴音」と呼ばれる技術ですが、これは大人になってから学ぶ場合、特に多くの方が挫折してしまう難所と言えるでしょう。
時には10代の頃に学んでいなければ習得は不可能と言われていたりもします。
(私はこの意見には反対ですが。)
他にもリズムトレーニングであったり、「調の判定」であったりと何かと「感覚」的な部分に頼る内容が至るところで現れます。
私は、音楽が才能のある人だけの特権のように思われる原因はここにあると思っています。
感覚的な要素が多い為、それを知覚出来ない人は「自分には無理」と諦めてしまう。
では、本当にそうなのか?と言われると、Yesでもあり、Noでもあります。
実際、才能のある人と言うのは存在します。
どう足掻いても追いつけないと思えるような作曲家や編曲家、演奏家そんな方々と比肩しようと考えるならば、私もやはり「自分には無理」と思ってしまうでしょう。
ならば音楽は才能のある人にしか無理な事なのかと言えば、それは違います。
そして、才能の有無を埋めていく手段の一つが、「理論を学ぶ事」になるのです。
「天才は0から1を生み出す。」
という言葉を聞いた事はないでしょうか?
これは全く新しい事を発見、造りだすのは才能がなければ無理だと言うこと。
では1を2に、2を3にしていくのは誰か?
それが世の大多数を占める人々。
天才に対比すれば凡人と呼ばれる我々なのです。